防災無線通信 – ホーンスピーカーとサイレンのためのオペラ

(音楽、パフォーマンス / 35分 / 2023年)

作品概要


防災無線通信はホーンスピーカー、モーターサイレンからなる行政防災無線装置を模した音響装置によって上演される音楽、パフォーマンス作品です。警報や時報として流されるメロディをモチーフに制作した音楽を音響装置によって放送し、上演されます。

全国1700箇所もの自治体に配備される防災無線、その多くが普段は時報を鳴らす目的で使用されています。ドヴォルザークのラルゴに代表される郷愁を誘う時報音楽の数々は、日本特有の情景を作るものの一つであるといえるでしょう。同時にそうした時報音楽が、いつか来る災害時の警報の予備として流されています。そのような背景からは音楽やシステムが災害を待っている状態にあるとも言えるでしょう。

私たちは日々、時報を聞きながら、いつかくる災害を恐れ、時に過去の災害を思い出し、郷愁の中で共同体を営んでいます。防災無線から流される爆音を許容する人々の姿と、そこに感じ取ってしまう郷愁は、否応なく一体化する都市共同体の力と、日本的な都市のありようが現れているといえるでしょう。本作ではそうした状況を誇張的に引用しながら、警報や時報などのメロディ、そして“防災”というフィクションによって、劇場に仮初の共同体を生み出し、かつてあったこと、これから起こることを再生します。

クレジット
取材協力:伊賀市役所管財課、ヤマハ株式会社
声:黄遥、永田武
引用:吉本隆明,「海はかはわらぬ色で」,『 吉本隆明全集〈1〉 1941-1948 』,晶文社,2016
Antonin Dvorak「”Largo” from Symphony No. 9, “From the New World” 」
作詞:北原白秋,作曲:山田耕筰「この道」
作詞:北原白秋,作曲:草川信「ゆりかごのうた」

やまなしメディア芸術アワード23-24 Y-Silver(優秀賞)受賞
NYAA2023 アート&ニューメディア部門 入選
東京藝大アートフェス2024 優秀賞

記録映像

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