New Realism (2019) – 写真
本作は、複数の写真を合成し、対象を一つの3Dモデルデータとして起こすフォトグラメトリを用いて撮影された”新しいポートレート作品”である。複数の視点を合成することで立体的かつ複数の視点から対象を観察することが可能なフォトグラメトリは、写真に替わる新たな記録媒体として、地理測量や建築物の記録などで利用され始めている。写真技術の歴史は透明性の歴史として要約することができる。フォトグラメトリからは複数の視点を合成することでより高い次元での客観性を担保しようとする人類のあくなき欲望が読み取ることができる。その上で、こうした手続きの中で起きたエラーは記録物と対象の隔たりをより明らかにしている。